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東京新聞 | Tokyo Web 2009/2/8版から転載

【神奈川】

森の荒廃食い止めたい NPO法人伊勢原森林里山研究会理事長 山口 寿則さん 

2009年2月8日

■里山再生目指す

 里山の荒廃を食い止め、間伐など適度に人手を加えることによって、多様な生物が暮らせる森をよみがえらせたい−。そんな志を持って、二〇〇五年に立ち上げた特定非営利活動法人(NPO法人)で理事長を務める。

 会員は約四十人。伊勢原市日向の石雲寺周辺の森で毎月二回、チェーンソーを使った間伐や、森に適した植生の調査などを続ける。「山は社会資源の一つ。森林の機能を守ろうとしても、所有者だけではできない」と意義を力説する。

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 伊勢原市の里山に囲まれた環境で幼少期を過ごした。薪や炭などの燃料や落ち葉の肥料など、里山の恩恵を受けた記憶がある。しかし現実を見ると、燃料は代わり、薪や炭はほとんど使われない。森林に向けられる目も変わってしまった。

 木材の輸入自由化で国産材の価格が下落して久しい。森林所有者は山に入らず、森は放置状態。伐採期を過ぎた樹木が増え、間伐もしないため下草も生えず、土砂流出などの危険があふれる…。「これは日本全国どこでもある話。簡単には解決できないが、住民や行政とも関係しながら取り組みたい」と長期的視野で構える。

■野生動物との共生

 荒れた里山の影響で、増える鳥獣の問題にも向き合う。シカやイノシシなどが山から下り、人や畑に被害を与える。対策として、目立たない場所を通る習性があるイノシシが下りて来ないよう、下草を刈るなど人里と山を区別できる“緩衝地帯”を設けたり、ネットを張った大型の柵をつくったりし始めた。「人間と野生動物の緊張的共生関係を築きたい」

 活動の方向性として、林業経営と環境を融合させたい、と願う。日ごろ別の仕事に従事する森林所有者が休日に整備に入るだけでは限界がある。「所有者が少しは(経済的に)潤う仕組みを整えたい。そして、バイオ資源がいっぱいある森林の魅力をうまく伝えたい」と思慮をめぐらせる。

 サイクルが長い森づくり。メンバーには団塊世代も多いが、活動を粘り強く広めていくためにも「若い力が必要」。将来的には大山や丹沢も含めた一帯の保全も見据えている。

(藤浪繁雄)

◆私の履歴書

1953年 伊勢原市生まれ
72年  高校卒業後、建築関係のサラリーマン
75年ごろ  薬局経営に携わる
98年ごろ  炭焼きの愛好グループを結成
2001年  森林里山研究会発足
2005年  NPO法人伊勢原森林里山研究会に