トップ > 災害復興支援 > 陸前高田市 > ベンチ作り

東北地方沿岸被災地支援活動

陸前高田の流木を活用したベンチ作り

いせはら災害対策市民会議が実施した第3回東北地方沿岸被災地支援活動(2011年8月11日夜〜15日朝)に当会から5名の会員が参加しました。この活動はいせはら災害対策市民会議の中心メンバーである当会が企画・立案し、日本財団のROADプロジェクトの助成金と赤い羽根共同募金のボラサポ支援金を受けて実現しました。岩手県陸前高田市でチーム福井の「復興“流木松 薪+αプロジェクト”」に参加し、被災者のコミュニティ作りを支援するのが目的です。

現地では流木材からベンチやプランターを製作しました。作業のためにお借りした田んぼは、津波が運んだ生活用品などが散乱する被災地の真ん中です。上の写真は、海岸方向に向かって続く津波の被災地で、中央に高田松原第一球場の照明塔、右手にかけて瓦礫が分別して積み上げられています。私たちは左手前に積み上げられた木材の傍で作業をすることになりました。丁度お盆の時期でしたが幸い民家からは遠く離れています。傍の道路を、車が私たちの作業を眺めながらゆっくり走っていきます。


真夏の日差しながらも海から吹く心地よい風を感じながら作業を進めました。簡易製材機による(1)板材製作、高圧洗浄機による(2)洗浄、そして(3)組立・仕上げの一連の作業を、流木が集積されているその場所で行いました。製作したベンチなどは仮設住宅やマーケット、旅館などで使っていただくことになりました。



10人が車2台に分乗

2011年8月12日朝9時過ぎに陸前高田市のボランティアセンターに到着。係員から注意事項の説明を受け、ボランティア登録を済ませました。

お盆の帰省ラッシュの中、伊勢原市から約12時間の旅でした。途中の那須高原SAで、那須に移住した会員のTさんが深夜にもかかわらず、スイカの慰問品を届けてくれました。2トントラックには次のような機材を積んでいます。

  • 簡易製材機(ロゴソール)
  • 高圧洗浄機: 揚水ポンプ+加圧ポンプ
  • 発電機: カンナやサンダーの電源用
  • チェンソー(エンジン型)
  • 車載クレーン設備
  • 刈払機など、林業機器


チーム福井の後藤さん(右端)から被災地の情報を聴く

まず、福井県からこられてボランティアのコーディネートをされている後藤さんを訪ねました。後藤さんはじめボランティアの方々が流木を集めた集積地があることがわかり、周辺の情報をいろいろお聴きしました。

その後、情報収集のために被災地を車で見て回りました。瓦礫が、木材や金属、コンクリート片などに分別されうず高く積み上げられています。ここまでの作業に携われた方々の努力に頭が下がります。

偶然出会った仮設住宅にお住まいの方との話合いの末、その仮設住宅でベンチを利用していただくことになりました。



(1)板材製作

丸太の製材

簡易製材機(ロゴソール)はエンジン型チェーンソーを横にして移動し、丸太を板材に挽く簡易型の製材機です。今回のように木材が集積されている場所に持ち込み、その場で板材に加工でき、便利です。

当初、瓦礫の中から流木を取り出す作業も予想し、作業靴の中には釘などを踏みぬかないようにインソール(0.5 mm厚のステンレス板)を装着していました。しかし、写真のように流木は1か所にうず高く積み上げてあり、お陰さまでさっそく製材を始めることができました。


厚板を2枚に挽く(奥に組立・仕上げ作業のテントが見える)

今回は板厚7〜8 cmの板を製作しました。流木には松、杉、桜などが混在しており、ベンチにはこれら全ての種類を、プランターには松を使いました。

たくさんの松が流された高田松原は野球場のかなり右手にあたります。1本残った松の木を車で移動中に見ることができました。五山送り火の薪で話題になった松は別の集積地のものだそうです。

(2)洗浄

木材の皮をはぎ取り、汚れを落とす

木材に高圧水流を吹き付けて樹皮や汚れを吹き飛ばします。写真の左手30 mほどのところで製材をしています。


プランターの汚れを落とす

高圧洗浄機で樹皮をむいています。写真のポリバケツまで小川から水をポンプでくみ上げました。ポリバケツのすぐ向こうに加圧ポンプが見えます。

(3)組立・仕上げ

ベンチの組み立て

製材した板に、丸太を半分に割った脚を取り付けベンチに組立ます。板と脚はネジとアングルで固定します。


ベンチの仕上げ

ネジ穴径に丸く削った木でネジ穴をふさいで、カンナやサンダーで仕上げます。木工のセミプロが活躍しています。



仮設住宅の人たちへベンチとプランターを届ける

偶然出会った人がお住まいの仮設住宅にベンチとプランターを届けました。みなさん数ヶ月前の悲しみを呑み込んで、笑顔で受け取っていただきました。さっそくみなさんでベンチの配置をされていました。コミュニティ作りを支援する今回のプロジェクトの目的が達成されたと感じました。



写真右のようなプランターも届けました。



「ナインマート」へベンチを届ける

「ナインマート」にもベンチを届けました。「ナインマート」は作業した場所に近い、仮設住宅にお住まいの方々やボランティアの方々が買い物に訪れるスーパーです。仮設住宅にお住まいの方はこの場所で昼食のお弁当を食べる方が多いそうです。大勢の方で賑わい、大切なひと時を過ごす空間でもあるので、『ベンチは本当に歓ばれます』とのことでした。


宿舎の玉乃湯へベンチを届ける

私たちが2泊お世話になった旅館 玉乃湯にもベンチを届けました。ここは復興支援に携わる方の定宿になっており、「被災流木のベンチ」を置きたいと要望されました。早速配置を考え、設置されていました。未完成のものもありましたが地元の大工さんに仕上げは依頼するとのことでした。ここにお勤めの方も津波により被災され現在仮設住宅にお住まいです。我々の活動を知り、是非ベンチが欲しいとのことでした。


庚申塔などの移動

作業させていただいた田んぼの持ち主と元自治会長の依頼で、車載クレーンが活躍しました。氏神さまなど地域に根付いた信仰を守ろうとする人々にも協力することができました。

大きな桜の木の下にあった庚申塔などの石碑が津波で周囲に流されており、クレーンで元の位置へ移動しました。また、少し離れた田んぼの傍にあった神社のお社もすっかりなくなっており、流されていた石碑をクレーンで移動しました。

桜の木の右側の枝の突起あたりに養殖カキの貝殻が付着していました。その付近まで津波が襲い、養殖カキのロープなどが絡みついたそうです。桜の木の手前にはカキの貝殻が四散していました。

被災地の田んぼの隅には見る影もなくつぶれた車が放置されているのが目につきます。クレーンなどの重機を使った小回りのきいた支援活動の余地がありそうです。


参加メンバー

本会の5名の会員に、いせはら災害対策市民会議のメンバー5名を加えた総計10名で活動しました。玉乃湯は、作業現場から車で20分ほどのところにあります。作業後に温泉に入れるのはなによりありがたいです。


実質2日間の作業の後の撤収風景

作業させていただいた田んぼにベンチを1つ残しました。このベンチには写真下のように、みんなで寄せ書きをしました。玉乃湯で汗を流した後、伊勢原への帰途につき予定通り15日朝7時ごろに日向の拠点に全員無事に戻りました。

私たちは、伊勢原市日向の谷戸田でできた米も持って、もう一度この地を訪ねようと、計画をしています。


作業場所に残したベンチの寄せ書きです。